HOME » ふくしまと八重 八重が学んだ「精神」 » 中田観音
白虎隊士・津川喜代美は、中田観音を詣でた時に野犬に指を噛まれてしまいました(当時の野犬はとても危険な存在)。その時、彼は自分で指端を噛み切り「これで犬歯の毒が身に廻る心配はありませぬ」と言って平然と包帯をして母を驚かしたという、なんとも男らしいエピソードがあります。
そんな中田観音は会津の人々の身近にあるお寺です。十一面観世音菩薩と2体の脇侍(地蔵菩薩、不動明王)は観音堂内に祀られています。この3体の金銅仏は国の重要文化財に指定されており、写実的なその完成度から当時の最高傑作といわれています。
そしてここは会津藩主代々の祈願所だったので、歴代藩主も足を運んでいます。このことから、八重の生まれ育った会津の精神を守ってきた観音様といえ、現在も会津ころり三観音巡りの1つとして、人々の信仰を集めています。
会津が生んだ世界的な医聖・野口英世の母シカが、はるばる猪苗代から歩いて通うほどこの観音立像を信仰し、毎月参篭して月参りをしていたことでも有名。英世の帰国の際、お礼参りした写真が残されています。
会津ころり三観音とは
「会津ころり三観音」の「ころり」は、穏やかな気持ちで「ころり」とあの世へ旅立てるという意味から。 仏教では「人間は生を受けてのちは貪(どん=むさぼること)、瞋(しん=いかること)、痴(ち=おろかなこと)などによる苦悩を受けることになる」と説かれています。しかし会津にある三つの観音様に巡礼すると、現世においては子孫繁栄、万願成就、寿命安楽などが叶えられ、やがて大往生を遂げられるといわれています。