HOME » ふくしまと八重 八重が生まれた「時代」 » はっとう
山や川、風光明媚な自然を残す南会津。冬は雪深く海も遠いことから、独自に発展した食文化が数多くあります。この地域では、山間部の米栽培の出来ない所でそばが作られます。そのそば粉を使った料理のひとつが「はっとう」です。
そば粉と米粉をお湯で混ぜ、麺棒でのばしたものをひし形に切り、湯で上げたものに「じゅうねん」をつけて食べます。じゅうねんとはエゴマのことで、「食べると10年長生きする」といういわれからそう呼ばれています。もちもちとした触感と、後味のじゅうねんの甘みが舌を楽しませてくれます。
江戸時代、役人にはっとうを出したところ、「こんなうまいものを毎日食すのはもってのほか」とご法度になったのが名の由来とされています。たしかに食料が重要な時代に、食べ過ぎることは贅沢だったのかもしれません。しかし、禁止されてもこっそりと食べられていたといいますから、当時の人の気持ちを知る意味でも一度味わっていただきたいものです。結婚など、晴れの日に食べる事は許されていたようで、今でも建前や出産等、お祝いのとき食されています。
はっとうは、現在の会津若松市と、栃木県の今市(日光市)を結んだ会津西街道の近くで作られていたので、八重が日光や京都へ向かう道中でも、もしかしたら食べていたかもしれませんね。